モノのECからサービス系ECへ!中小企業のための「オンラインで売れる」発想転換

モノのECからサービス系ECへ!中小企業のための「オンラインで売れる」発想転換


今、「サービス系EC」という言葉が注目されつつあります。

まだまだ馴染みのない方も多いかもしれませんが、現代のEC事業の環境は、着実に、モノのECからサービスのECへと、転換を始めていると言って良いでしょう。そこで今回は、このトレンドの変化について、詳細なレポートをお送りします。

結論を申し上げれば、モノのECからサービス系ECへの転換は、大きな時代の流れとも言えるものになっています。これまでは考えられなかったほど数多くの業界で、サービス系ECへの進出や転換は、避けては通れない時代だと言えるでしょう。そうした時代の中で、どのように対応していくべきなのか、具体的な方策まで踏み込んで、情報とご提案をお届けしていきます。

サービス系ECとは?どのようなECなのか

まずは、サービス系ECの定義から確認していきましょう。

サービス系ECとは、文字通り、サービス、つまり「役務」をインターネット上で購入できるECのことです。サービス系分野のB toC ECの具体例として、総務省の「電子商取引に関する市場調査」報告書では、旅行サービス、飲食サービス、チケット販売などの例を挙げています。

たとえば身近なところでは、UberEatsなどの食品の宅配サービスも、サービス系ECの例と言って良いでしょう。ほかにも、航空機や新幹線のチケット予約、宿泊の予約、イベント等の予約といった、オンライン予約系のサービスの多くが、サービス系ECに分類されます。

さまざまな事業分野に、サービス系ECへの進出の可能性がある

このように考えると、さまざまな事業分野において、サービス系ECへの進出の可能性があると気付きます。

たとえば、学習塾や資格講座などです。塾に通わなくても、ZOOMなどのオンライン通話サービスを使って、オンラインスクールの形でサービスが提供されることも、今では当たり前となっています。こうしたものも、サービス系ECと呼べるでしょう。

美容室やエステサロン、ペットサロンなど、お店に行かなければ利用できないサービスであっても、その来店予約をオンラインで受け付ける、という形で、サービスECへの進出が可能です。この方向性は非常に幅が広く、「お店に行ってサービスを受ける」タイプの事業であれば、おおよそ、あらゆる事業でサービス系ECの進出ができることになります。たとえば、レストラン、ホテル、スポーツジムなども当該します。

なお、店舗で実際にサービスを提供するのは、何らかのスタッフが行うことになるケースが多いでしょう。たとえばヘアサロンであれば、実際にサービスを提供するのは、スタイリスト等のスタッフになります。フィットネスジムならトレーナーやコーチが、レストランであればシェフやホールスタッフが、といったように、最終的にはスタッフ=人の手によってサービスが提供されることが多くなります。

いずれにしても、提供場所が店舗であっても、あるいはオンライン通話であっても、「人の手によって、お客様に何かをご提供するサービス」であれば、サービス系ECへの進出の可能性も広がっていると考えて良いでしょう。

サービス系ECの具体例と成功事例

さて、サービス、つまり「人の手によって提供される役務」を、「EC=オンライン」で提供すると考えると、なかなかイメージが掴みにくいかと思います。そこで、さらにいくつか具体例と成功事例を掘り下げてみましょう。

サービス系ECの成功事例1:Uber Eats

もっとも著名なサービス系ECの成功事例としては、食品配達事業のUber Eatsが挙げられるでしょう。調理スタッフの手によって、店舗で作られた料理を、お客様のご自宅や職場など、指定の場所まで配達するサービスです。

サービス系ECの成功事例2:マクドナルドのモバイルオーダー

もう一つ飲食業関連から、著名な例をご紹介しましょう。これはECという枠組みからは少し外れますが、オンラインでサービスを販売する、というイメージが掴みやすい例だと思います。マクドナルドのモバイルオーダーです。

大手ハンバーガ―チェーンのマクドナルドは、スマホアプリで事前に注文と決済を完了させ、店頭で待ち時間なしに商品を受け取ることができるサービスを提供しています。このように、「オンラインで注文と決済をし、店舗ではサービスを受けるだけ」という形のサービス系ECの事業デザインもあります。

サービス系ECの成功事例3:じゃらんnet

宿泊施設の予約ポータルサイトである、「じゃらんnet」も、サービス系ECの有名な成功事例と言えるでしょう。これまでご紹介した事例と異なり、この場合は、いわゆるショッピングモール型ECのサービス版と捉えられます。さまざまな宿泊施設が登録し、ユーザーは、サイト内で宿泊施設のプランや料金、設備などを比較検討して、予約と決済を行うことができます。予約・決済はオンライン上で事前に完了しているため、あとは店舗に行ってサービスを受けるだけとなります。

中小中堅企業でも、自社ECによるサービス系EC進出が加速

このほか、中小中堅企業でも、ショッピングモール出店に加えて、自社ECによるサービス系ECへの進出が、今後さらに加速する可能性があるでしょう。来店予約や、オンライン通話で提供する相談・カウンセリングサービス等の予約、それらの決済といった流れを、自社のサイト上で完結させ、お客様は予約当日、サービスを受けるだけとなる形です。

サービス系ECに取り組む意義

サービス系ECへの進出は、大手企業のみならず、中小中堅企業にも広がり始めています。決して容易ではなく、予算も必要となるサービス系ECへの市場開拓と進出に取り組む、その意義について理解を深めていきましょう。

モノ消費からコト消費へ:2010年代以降の消費行動のトレンド

長期的な目線では、お客様の消費行動の大きな変化が挙げられます。これまでのお客様の消費行動は、主に「物を買う」ということが主眼となっていました。たとえば、スーパーマーケットに牛乳を買いに行くと考えた時、お客様にとって、お目当ての銘柄の牛乳が、それなりにお手頃な価格で販売されていれば、それによって満足を満たすことができました。

もちろん、これは現在においても基本的には変わりません。小売業であれば、「買いたいときに買いたい商品が買える」ことと、「それなりの価格で購入できる」ことが、最低限の基盤となる原則でしょう。

しかし競合店との競争環境を考えた時に、プラスアルファの価値付けが重要になってきます。その価値付けをどうすれば良いのかが見えず、競争の中で厳しい状況に晒されてきた企業も数多くあるでしょう。こうした中で、新たな価値付けとして、特に2010年代以降、注目されるようになってきた要素が、「コト消費」と呼ばれるものです。

先ほどのスーパーマーケットの例えで考えてみましょう。あなたは牛乳を買いに行きました。同じ商品が、同じ値段で販売されている店舗が2つあったとしたら、より店員さんの接客が気持ちよいお店に行きたいと考えることは、自然な流れではないでしょうか。あるいはポイント特典や限定値引きなど、サービスが充実している等も、お店選びに影響します。

いずれにしても、「同じように買い物ができるなら、より気持ちよいお買い物体験ができるお店を選びたい」と考えるわけです。

といっても、この考え方自体は特別なものではなく、従来からずっとあるものでしょう。しかし、2010年代以降に生じはじめている時代の変化は、さらにもう一歩、「体験」の重みが大きくなります。

先ほどのスーパーマーケットの例では、「同じ商品を同じ価格で売っているなら」という前提条件がありました。しかし現代においては、「価格は安いが、気持ちよいお買い物体験ができないお店」と、「価格は安くないが、気持ちよいお買い物体験ができるお店」であれば、後者を積極的に選ぶ顧客も、増え始めています。必ずしも全員がそうではありませんが、全体として見た時に、そのような時代の潮流が生じていることは確かでしょう。

つまり、「何を買えるか」ではなく、「どのような体験ができるか」に重きを置いて、消費行動の意思決定を行う行動モデルが、成立するようになってきたと言えます。この流れを指して、「モノ消費からコト消費へ」という言葉で表されています。

コロナ禍における「オンラインショッピング」への意識の変化

もう一つの重要なファクターとして、コロナ禍における消費者の意識変化が挙げられます。コロナ禍を通して、オンラインでショッピングをする、購入や予約や注文をする、といった行動が、急速に広まりました。最初は心理的な抵抗やでデジタルへの苦手意識から避けていたユーザーも、コロナ禍を通して、オンラインでの消費行動に慣れ親しむようになっています。

そうして「オンラインの便利さ」に多くの消費者が親しみ、それを当たり前とするようになったのが、このコロナ禍を経ての、大きなtoC事業環境の変化だと言えるでしょう。もし将来的にコロナ禍から脱し、社会が落ち着きを取り戻したとしても、「オンラインでできることはオンラインで」という時代の潮流や、消費者の意識変化は、不可逆的なモメンタムとして進んでいくものと考えられます。

従ってサービス系の事業であっても、予約や決済が、「オンラインでできるか否か」というのは、消費者のお店選びに、大きく影響するファクターとなります。たとえば飲食店に予約を入れるとして、A店は電話予約のみ、B店はオンライン予約可能となっていたら、A店よりもB店のほうが、より選ばれるお店になるということです。

「コト消費=サービス」を、「オンライン」で:2023年のtoC事業の重要ファクター

こうした大きな流れを振り返ると、「モノ消費からコト消費へ」という、体験を重視する顧客の増加と、「オンラインでできることはオンラインで」を当たり前とする消費者意識の変化から、サービス系ECへの進出は、2023年toC事業における、極めて重要なファクターになると言えるでしょう。このトレンドを掴むことが、今後のtoCビジネスにおいて、一つのキーポイントになると考えられます。

サービス系ECの導入案:オンライン対応にはこんな可能性も

サービス系ECの具体的な導入案は、さまざまな方向性が考えられます。たとえば、次のような分野にもサービス系EC進出の可能性が広がっています。

アパレル・ファッション

たとえば、アパレルやファッションのECサイトに、「オンライン・コーディネート・サービス」を導入するアイデアです。オンライン通話でコーディネートのご相談に乗り、お客様におすすめのファッションアイテムをご紹介します。実店舗で行うアパレルの接客を、オンラインでも提供するイメージです。

他にも、たとえば自社でフィティングルームを用意し、そのご利用とコーディネートサービスの予約をオンラインで受け付ける、といった展開も考えられます。

医療クリニックや介護相談サービス

医療クリニックにおけるオンライン診断・オンライン相談は、コロナ禍を経て浸透しつつある事業形態の一つでしょう。同じスキームで、たとえば介護相談サービスのオンライン化といった取り組みも可能です。

弁護士・司法書士などの士業や、コンサルティング業

相談や面談のご予約を自社サイトで受注し、ZOOMミーティング等のオンライン通話でサービスを提供します。こうした形も、サービス系ECの在り方の一つと言えるでしょう。

他にも様々なサービス系ECの可能性が:先行者利益のチャンスも

このように、サービス系ECには、従来の物販系ECとは、また違った可能性が様々に広がっています。比較的新しい分野となるため、成功事例や前例もまだ十分に出揃ってはいませんが、逆に言えば、それだけ先行者利益を得られるチャンスも大きいと言えます。

「この事業、このサービスは、オンライン化できないか」

「カスタマージャーニーマップの中で、オンライン対応にできる部分は無いか」

と、一つ一つのフローを丁寧に精査し、オンライン化できるものはオンラインで、と考えてチェックしていくことで、新しいビジネスの展開を作り出せる可能性も十分にあるでしょう。

まとめ:モノのECからサービスのECへ!Sakurabookがお手伝いします

モノ消費からコト消費へ、そしてモノのECからサービスのECへ。時代の変化に伴い、toCの事業環境も大きな転換期を迎えています。この潮流にしっかりと掴み、次の時代にも活躍できるサービスへと転換を図るために、Sakurabookがお手伝いをします。

Sakurabookは、ECショッピングカート「Shopify」で初の、日本語対応のカレンダー予約アプリです。Shopifyの持つ強力なECの基本機能の上に、充実したカレンダー予約を実装し、時間指定の予約受付と決済を可能にします。

これにより、従来のShopifyで「モノ」のECを実現するだけでなく、カレンダー予約機能による「サービスのEC」も、両方とも実現することが可能です。モノのECも、サービスのECも。どちらも高水準に実現できるツールです。

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